Thunderbird 52.0 Release
先週Thunderbird52.0がリリースされました。
何かとっても遅ればせの記事になりましたが一応気付いた事書いておきます。主にリリースノートに含まれてない事&リリースノート中で気になったところ中心です。
長めの記事です。
リリースノートはそれぞれ以下にあります。
MozillaZine.jp » Blog Archive » Thunderbird 52 がリリースされた
最初はリアルタイムで52.0リリースの事実を知らなくて、「何かBlogへのアクセス数がおかしい」と思って調べてから知った口o(>_<, )o
で、検索数が増えた理由は「52.0で一部のアドオンが動かなくなった」系のものが最多と思われますが、後述の理由により現時点では、
- アドオンの方を修正する
- 自力修正できない場合は出来る人に修正をお願いする
- 他のアドオンを探す
52.0環境においては、この3点しか「解決」はないと思います。*1
ただし、Thunderbird52.0にてマルチプロセスを無効化できる方法がもしあれば、52.0でも従来のアドオンが使える可能性があります。
もし52.0環境にてマルチプロセスを無効化可能な情報/方法がありましたら、多分一部の方の朗報になると思いますが、対応Bug1253933 - unable to overwrite functions in addons with dom.compartment_per_addon = true見る限りなさそうな印象。
(2017/4/11 22:30追記:「45はOKで52は駄目」のケースはXPCOM廃止の影響を食らっている様子。以下参照→mozilla Firefox、Thunderbird 52からのアドオン非動作(XPCOM廃止の影響)の解決策一例 - QiitaとかThunderbird 52でnsPreferenceが死んだ話 - Qiita)
また現状Mozilla.jpでは45.8.0が公開されているようですので、当面は(永続的ではなく)こちらを維持するの手もあるかと思います。
マルチプロセスが強制有効/アドオンの不具合のこと
ThunderbirdでもFirefox同様に、マルチプロセス(e10s)が有効化しています。
昨年の45.0リリース時にも、これが原因で一部のアドオンが動かない、というのが上記Bug 1253933などで報告されていました。
「何故駄目なのか」の理由(グローバル変数の扱い)はBug 1253933内にて検証されています(Comment12以降)。
45.0では詳細設定からdom.compartment_per_addon=falseにすることでアドオンが動くようにできたのですが、これは46以降で無効化されています。ですので、52.0環境においてdom.compartment_per_addon=falseの手は使えません(値が設定されていても反映されない)。
52.0にて動かないアドオンは、以前45.0で騒がれたアドオンがほぼ当てはまると思っていますが、45環境で使えたものが52で動かない(Confirm-Addressとか*2)もあるので、これだけが原因ではないかもしれません。
(2017/4/11 22:30追記:「45はOKで52は駄目」のケースはXPCOM廃止の影響を食らっている様子。参照→mozilla Firefox、Thunderbird 52からのアドオン非動作(XPCOM廃止の影響)の解決策一例 - QiitaとかThunderbird 52でnsPreferenceが死んだ話 - Qiita)
また、上記Bugでのコメント見る限り、「古いアドオンは省かれても仕方ない」的な流れになっているので、今後dom.compartment_per_addonの設定が戻る可能性はなさそうです。
対応・非対応をいちいち調べるのは骨が折れるので、簡単に判別可能な方法。
Thunderbirdのアドオンマネージャから各アドオンの設定画面を開き、画面下部の「OK」を押してみます。
52.0非対応のアドオンは、クリックや画面直押し操作をしても操作が反映されず、押したことになりません(画面はCheck and Send 0.9.27のもの)。「キャンセル」は押せます。
ちゃんと対応しているアドオンは「OK」「キャンセル」双方操作可能です。
Firefoxだと、アドオンによってe10sの機能を無効化する設定(extensions.e10sBlockedByAddons=trueのような)や、e10s自体を制御する設定によってThunderbird自体のe10sを無効化できないのか…と思って色々調べましたが見つけられてません。
Thunderbird上でextensions.e10sBlockedByAddonなどの設定を追加しても反映されません。
Firefoxとは別の仕組みで制御されている…?でもバックエンドはFirefox52.0相当だったはず、どこが違うのだろうかという印象ですが、何かしらの方法でThunderbirdのe10sを無効化できれば一助になりそうです。
既定の文字エンコーディングがUTF-8に変更/改行が無効化?
リリースノートの
重要: 日本語版で、既定の文字エンコーディングを ISO-2022-JP から Unicode (UTF-8) へ変更しました。現在では各種メールクライアントにおいて Unicode 対応が改善されており、問題が生じる可能性は少ないと思われますが、何らかの理由で設定を戻す必要がある場合は、オプション画面の [表示] > [書式] > [フォントと配色] > [詳細設定] を開き、エンコーディングを変更してください。
これに関してはMozillaZine.jpのフォーラムにてものすごく詳細な検証&情報提供がありますのでリンクを提示します。こちらでさかしらな解説加えるよりも的確な検証・啓蒙内容と思います。
MozillaZine.jp フォーラム • トピック - 【レポート】Thunderbird 52.0b1 を使ってみて気づいた新機能など
MozillaZine.jp フォーラム • トピック - Thunderbird 52.0 で既定のテキストエンコーディングを UTF-8 へ変更
オプションの[表示] > [書式] > [フォントと配色] > [詳細設定]で開ける画面は以下です。
フォーラムでも書きましたが、「可能であれば返信メッセージに既定のテキストエンコーディングを使用する」にばっちりチェック入ったままであるため、エンコーディングに気を遣う環境においては一度確認するとよいです。
で、これだけならまぁいいか…と思ったのですけど、どうもUTF-8で送った場合はメール本文の改行が無視されているような…
Thunderbird45以降では、format=flowedのdelsp=yesがサポートされた(検証結果:TEST for Thunderbird 45.0b1 - meitner)ので、自動改行の仕様がそれまでとは異なっています。
従来の自動改行を維持するためにはmailnews.send_plaintext_flowed=falseにするとよい、とされているのですけど52.0環境でUTF-8のメール本文を作成して下書き保存/メール送信をすると、mailnews.send_plaintext_flowedの値にかかわらず自動改行されず、まるまる一行扱いで表示されます。(画面はmailnews.send_plaintext_flowed=falseのもの)
iso-2022-jpでは起こりません。
自分の環境だけ…?
一応セーフモード&新規プロファイルで確認したけど、もしこれが本物ならとっくにフォーラムで騒がれてそうな。
手動で改行入れた場合はきちんと反映するので、どうしてもUTF-8で自動改行したい、という場合は別途エディタで編集する方が安パイかも*3。
(2017/4/21追記:改善方法がわかりました→Thunderbird52.xでメール作成時の自動改行を有効化する - とりかごとなり。)
メーリングリストへの返信時に注意
リリースノートの一文、
メーリングリストへの返信時に、From ヘッダー内のアドレスに対して送信し、Reply-to ヘッダーを無視するようにしました。
これが個人的に一番戸惑った点。いつもReply-to任せで返信していたので。
普通に「返信」を選ぶと、メーリングリストのアドレスではなく個人のアドレス宛てになります。
うっかりいつもの癖でただ「返信」を選んでメーリングリスト用のメールを特定個人あてに送ってしまった、とかやりがち。
Reply-toに返信する機能自体は残っていて、スレッドペインでのコンテキストメニューで「メーリングリストに返信」を選ぶか、ツールバーのカスタマイズで「リストに返信」を表示・選択するとReply-to宛てへの返信が可能です。
*1:古いバージョンを使い続ける、は「アドオンを使えるようにする」という意味での解決ではないのでリストに含めてません。
*2:ただし修正かかってる最中。githubに上がっている1.2.9aは動くらしい
*3:しかしこういう時の心の友たるexternal editorが52.0非対応という…